リニヤアンプ用Transistorによる実験6
本実験はPowerMOSによる実験5の発展版である。
実験5の半導体素子をリニヤアンプ用Transistorに変更して実験を始める。5/9/2004
目標
チタン酸バリウムディスクに超光速トンネル電流として2C(光速度の2倍)以上
の駆動を行ってみる。入力する高周波電力として60MHzから470MHz
で1相あたり180Wが可能となるようリニヤアンプ用Transistorを4ケ並列に
設置して×3相分の運転を可能とする。最高18C(光速度の18倍)まで実験してみる。
ここからもまったくの未踏の実験であり、
光の速さを2倍も超えているので、従来の理論(教科書や文献は存在しない)では
説明がつかない領域だ。これは時間反転機の予備実験でもある。
2Cで時間反転するかどうか確認したい。
しないとすればC の2乗は必要ということになる。
製作
-
470MHz Po:45WのPowerTransistorを12ケ調達した。
ピン配置が同じTransistorを選んだ。すべて無線用のもので、
製造中止になっているがしかたがない。
PowerMOSによる実験5のように球形コンデンサーの直下に
Transistorを配置するようにする。5/9
- 60MHzの水晶発振器を購入して基準発振器製作入力に抵抗
を入れて1/nを除去した。10Vp-p出力が得られた。5/16
- 60MHzの三相交流発振器の回路を検討した。従来の回路の一部を変更すれば
三相になったのでこれで行く。出力が小さいので改善が必要。5/22
回路定数を検討して電源電圧12Vで60MHzの10Vp-pの出力となった。5/30
- 部品一式を購入した。
高価な金のフィン端子と黒のヒートシンクとの色の組み合わせは見栄えがいい。6/4
実験5の配置を踏襲してアルミ板にけがき作業。6/13
PowerTransistorを取り付ける穴加工を行う。6/20
基板割り、部品集め、銅板よりブスバーカット6/27
三相交流発振器の回路基板を実装した。基準発振器とともに通電してみると
位相が合わない。伝達時間が大きいためであることが解った。f特を上げる
必要がある。7/4
f特を上げるのは限界があって浮遊容量を吸収できるだけの電流を流す必要があり、
限度があった。逆手にとって、簡単な移相回路を作成して位相調整を行った。
一応120°の位相が得られたが、やや不安定だ。アース板なしで
正規に取り付けていないためもある。7/11
プリドライバー回路実装。ドライバー回路製作7/19
三相交流発振器とプリドライバー回路、ドライバー回路を取り付け
配線。残りはPowerTransistorとバイアス部分だけになった。7/25
各相Transistor1ケの実験
PowerTransistorとバイアス回路を実装した。
三相交流発振器とプリドライバー回路、ドライバー回路をチェックし、
位相を確認した。所定の10Vp-pのドライブ電圧と位相が得られている。
駆動装置全体して通電したところ、球形コンデンサー電圧は10Vp-pしかなく低い。
調べたらDCバイアスの不足でもっと高くする必要がある。
特に不安定ということもなく、見込みがありそうだ。8/8
球形コンデンサー電圧が低いのはDCバイアスの不足ではなく、ドライブ不足であった。
470MHz Po:45WというようなPowerTransistorのドライブは3W 程度では
不足していて2倍の6Wは必要であった。暫定策としてドライバー2個
とした。このおかげで、PowerTransistor1個で1相だけで40〜50Vp-pは出た。8/17
もっと電圧を出そうと電源電圧を35V以上にしたらピンと音を発して破損した。
こういうPowerTransistorは規格以上では弱い。
真ん中の相だけ電圧不足で、もともとの三相交流発振器の波形が
汚いためであることが解った。改善する必要がある。8/22
三相運転するとやはり電圧が低い。また、不安定だ。
Transistorのインピーダンスが低いためのようだ。
不安定なのはオーバードライブであった。
インピーダンスマッチングを考える必要がある。8/29
電圧が低い原因の一つに三相交流発振器からプリドライバー
のドライブ不足があった。トランジスタの規格ぎりぎりまで
ドライブ電流を増やすことにした。9/5
一時、中断する。9/20
実験再開のため上物を載せ替えした。1/16/2005
三相交流発振器の波形が汚いので改善しようとしたが、
根本原因は部品配置の悪さにあるようだ。中途半端な
検討をしても最後にダメになると判断して組み直す。1/23
すべての部品をはずして再配置した。+Vcc,GNDのブスバーも変更した。
実装して通電したら、トランジスタのピン配置を間違えたり、ボリウムの
足ピンを取り違えていて出力が出なかったりしてミスが多かった。
まずは3相分のバラツキが無いようにトランジスタを取り替えた。
すべて同一波形となった。60MHzの矩形波の三相の位相合わせを行ったが、
120°はうまくいったが、240°は少なすぎて検討が必要。1/30
240°の相の位相合わせが難しかったが、移相回路を工夫して
位相調整ができるようにした。120°の相も位相調整を追加した。
波形を合わせないとうまくいかないので、0°の相にも調整
を入れた。全体として不安定さはなく、まずまずの仕上がりになった。2/6
三相交流発振器からドライバー、PowerTransistorへ配線。
三相運転すると不安定というか波形が汚すぎる。
電流を流すとそれなりの波形が出る。さらなる検討が必要2/13
波形が汚すぎる原因はドライブ電圧不足のようである。
球形コンデンサー電圧は10Vp-pしかなく低い。
かつてのコレクタに伝送線路トランスを
付けた基板があったので、これで試すと2次側
(open20Vp-p)15Vp-pのドライブで60Vp-p出るが、
あくまでも単相運転だけであって、三相運転すると
出力が全然出ない。
A級(常時ONしている)電流源の合成でないためである。
さらなる工夫が必要。
実験しているときどき、Transistorの破壊する音
や、スパーク音をまねたラップ音がするが、
興味のある霊がきていたずらするようで、まぎらわしくて困る2/13
PowerTransistorの負荷コイルを換えたり、抵抗にしたり試すが、
電圧は10Vp-pしかなくもっと検討が必要。PowerTransistor
がドライブできていない可能性がある。2/27
電圧が低いのはインピーダーンスが低すぎる?ためと考え、
3相の各相に伝送線路トランス1:4を入れてみたが、
周波数が1/2の混変調が起きてしまい、よろしくない。
やはりA級(常時ONしている)電流源の合成でないからか。
リニヤアンプ用Transistorは適していないのか? 3/6
この手のリニヤ用Transistorはゲインが低い、さらに
インピーダーンスが低すぎるためチタン酸バリウムディスク
の駆動には適していないようだ。もっと素子を吟味する必要がある。3/13
TransistorからPowerMOSに一時変更
Transistorをリニヤ用PowerMOS に変更してみた。
バイアス回路も変更しなければならない。回路変更して60MHzの実験した。
その結果、出力は20Vp-pしか出ないが、不安定ながら三相運転ができた。
チタン酸バリウムディスクに定在波が発生しないため、効率が非常に悪いことが解った。
PowerMOSも限界周波数の倍以上なので出力も小さい。3/20
不安定な原因は波形の汚さにあるようで、1/2,1/3,1/5の変調波が含まれる
ため、複雑な合成値になってしまう。合成自体はうまくいっている。
もっと波形の純度を高める必要がある。4/10
波形が良くなるよう検討し、上写真が得られているが、まだまだ、汚い。
電圧レンジは20V/divである。2C 駆動はできていることが解った。4/17
不安定要因はどうもドライブ不足にあるようで、32MHz用のドライバー
のままでは不足している。エミッタ電流を3倍に増やすことにした。
すると、PowerMOSのドレインは1.5倍の電圧になった。変更になる
ので、抵抗を購入する必要がある。4/24
抵抗を購入して交換したところ1.5倍近く出るようになった。
実験5でも交換すればさらに電圧アップが望める。5/1
実験5でもエミッタ電流を3倍にしてみたが、hfeの限界以上のようで、
電圧アップはなく、半分程度になってしまった。ドライバーだけで100W 消費している。
結局、手間だけ掛かって徒労に終わる。5/5
高周波Transistorに戻した実験
リニヤ用PowerMOSから高周波Transistorに戻し、バイアス回路も戻した。
やはり、18Cまで実験する必要があるので回路を工夫したい。
Transistor1個ではパワー不足のようで、ディスクをドライブできないようだ。
ディスクに触ると半分程度になってしまう。
手本の実験5の上物を出してきて取り付けて、運転中のディスクに手で触れても
電圧低下は数%程度だったので、これはパワー不足と判断できる。
Transistorを2個に増設して並列運転してみたところ、今までと同様に
単純に電圧が上がるわけではなく、マッチングを取らないと電圧が出ない。
また、バイアス電圧を上げてアイドリング電流を大きくしても
球形コンデンサー電圧が増えるわけではなく、もっと大きな入力電力が必要である。
ここがPowerMOSとの相違である。
高周波Transistorの増幅率から考えるとエミッタフォロワドライブの10Vp-pでは少ない。
2つパラうことで改善はするが、正統な対処ではない。
電圧を上げるにはドライバーの形式を変更する必要がある。
実験5ではコレクタに伝送線路トランスを付けてマッチングさせるようにしたが、
PowerMOSだったためか失敗した。もう一度あの基板を引っ張り出して試すと
2次側(open20Vp-p)15Vp-pのドライブで40Vp-p出る。
こちらのほうが波形がきれいだし安定度も高い。5/8
三相交流発振器とドライバーの改善
実験5から6に戻って実験再開、波形が悪いのはこの方式の三相交流発振器の
出力が良くないことがわかっているので方式を変更する。
再検討で製作した同じ三相交流発振器(一段アンプを追加したもの)が
あるので、これで試すことにした。
バイアスなどいじって、1ユニット12Vp-p出力時、最高速は14nsecであった。
60MHzくらいで三相運転したところきれいな波形と120°位相が得られる。
しかし、配置が実験5のようにになっていないので不安定だ。
造り直しすることにした。6/26
三相交流発振器の内部の配置を全面改装した。
42.95MHzで発振させるとやや不安定だ。
検討するとゲインの稼ぎ過ぎであった。
エミッタに抵抗10Ωを入れてゲインを落とすときれいな波形と位相が得られる。
67.1MHzの水晶発振器で動作させてもきれいな波形と位相が得られた。
試しに74.25MHz、80MHz、100MHzで同期するか試すとみごとに動作した。
三相交流発振器と水晶発振器を駆動装置に実装し所定の動作を確認した。7/3
三相交流発振器からドライバーまでのバッファーの配線を
行ったが、発振器が不安定になる。原因は出力の取りすぎであった。
さらにバッファーを一段追加したが、二段では異常発振してしまう。
バッファーの入力にボリウムを入れて下げたところ安定した。
4つ目の約20cm先のドライバーのところまで
67.1MHzの位相の合った三相交流が得られた。7/10
コレクタに伝送線路トランスを付けてマッチングさせるドライバー回路を実装した。
ドライバーのテストをすると3相目が正常ではなく、1/2波形が混ざる。
ボリウムを入れたことが問題で、絞ると低調波が混ざるためである。
この周波数になると単純な挙動は示さない。ボリウムのf特が悪い。
解消する必要がある。正常な相は30Vp-p(open)は得られている。7/18
3相目がおかしいのは調べてみたら、いつものことながらオーバードライブであった。
抵抗を入れて解消した。しかし、位相が遅れぎみである。
1、2相目に空芯コイルを入れて位相調整した。
これでドライバー段での位相と電圧がほぼ合った。7/24
PowerTransistor2ケでの駆動
高周波PowerTransistorを各相1ケとドライバーを銀メッキテフロン線で接続して
チタン酸バリウムディスクを三相交流駆動を行ってみた。
すると出力がぜんぜん小さく10Vp-p程度しかない。
どうもおかしい。2,3相のコレクタラインをはずして1相だけの
ドライブを行うと60Vp-pは出る。ところが他の相を接続すると
電圧が極端に落ちる。インピーダンスが高いと思われたので、
ドライバー回路をもう一つ実装してPowerTransistor2ケでの駆動を
行ってみた。しかし、たいして電圧は上がらない。
67.1MHzになるとチタン酸バリウムディスクのインピーダンスが
小さくなってドライブできなくなる?と思ったが、
32MHzでも三相交流駆動すると発熱があったくらいなのでインピーダンスは
むしろ上がっていると思う。
試しに2,3相のPowerTransistorのベース配線を外して、単にコレクタを
球形コンデンサーにつないでみた。なんとこれだけで電圧が落ちる!つまり、
エミッタがアースされたTransistorのCobが原因で電圧低下が発生していたのだ。
これではどうしようもない。実験5でも
コレクタに伝送線路トランスを付けてマッチングさせるドライバー回路は
ダメだった。リニヤ用PowerMOSと高周波PowerTransistorの違いなのか?
リニヤ用PowerMOSと言えどもCossは75pFはある。
高周波PowerTransistorはもっと多く120pF程度はある。
しかし、この程度では大差はなく、半導体素子が原因ではない。
実験5ではPowerMOSが4つ並列であり、しかも400Vp-pもの駆動電圧が得られていた。
すると、やはりドライバーではないかと、2相目をエミッタフォロワにして
ドライブしながらTransistorのコレクタ配線を接続すると、電圧が落ちない!
やはり、今までのドライブ方式は驚嘆すべき優れもので、Cobを吸収していたのだ。
どうりで、実験3、4、4.5のスイッチング用の高耐圧PowerMOSでも
半導体スペックを上回る32MHzもの駆動を実現できていたわけだ。
某アマチュア無線家の送信回路(B級?)ではチタン酸バリウムディスクは駆動できない。
Cobをも吸収するもっと電圧が高いDCアンプ構成のA級ドライバー回路が必要だ。
7/30
TransistorのCob
この高周波PowerTransistorのCobは120pFもある。
これが駆動している隣の相に存在して電圧を奪う。
貯まった電荷を抜くにはベースからアースに向かって
電流を流す必要がある。ではどれくらいかと計算してみると
Q=CV
電圧を20Vとして Q=120×10の-12乗×20V
1秒間に67.1MHzの回数充電されてしまうので、
Q=120×10の-12乗×20×67.1×10の6乗
Q=0.16104C
1秒間に0.16Aは必要ということになる。実験5はこれを上回る設定であったので、
うまくいっていた。7/31
PowerTransistor4ケでの駆動
今までのドライブ方式でドライバーを増設してPowerTransistor4ケにて
駆動実験を行った。しかし、電圧が10Vp-pと低い。いろいろ当たってみると、
ドライバー4つに供給しているバッファーがドライブ不足になっていた。
また、ドライバーも力不足で、2つパラう(3つ以上にしても同じだった)
ことで改善するので、PowerTransistor2ケで実験した。
すると、波形がやっぱりヘンだ。二次ひずみが出る。
そこで、40MHzに設定すると、50Vp-pの三相交流駆動ができるが位相が正確ではない。
40MHzで30Vp-pに設定して、そのまま周波数を変えて挙動を探った。
その結果、40MHz,42.95MHz,48.6MHz,67.1MHzと周波数が上がるに従って
電圧も下がり、波形も独特のものになる。これは40MHz以上になると
チタン酸バリウムディスクの内部での合成がうまくいかなくなるもの?と考えられる。
波形としての違いは40MHzと42.95MHzの間がはっきりしている。
これはちょうど光速度の臨界点を超えて駆動できなくなったのか確認が必要で、もっと
周波数を小刻みにして探る必要がある。
8/07
40MHz
| 42.95MHz |
|
|
48.6MHz
| 67.1MHz |
|
|
このチタン酸バリウムディスクの光速度の臨界点は最高でも40.24MHzと考えられるが、
これを超えるとほんとうに内部での合成がうまくいかなくなるのか
再度、42.95MHzの設定でリニヤ用PowerMOSで駆動してみることにした。
三相交流発振器と水晶発振器、バッファー回路を実験5の装置に移植した。
かなりの手間がかかるが、これが確認のためには最短だ。
配線し直して駆動してみると、何のことはなく150Vp-pくらいの三相交流駆動ができた。
位相精度や波形はいまいちだが、超光速の円偏向電磁場は実現できることが解った。
実験5でも球形コンデンサーを小さくして機関側を改造し、1.1C 相当
の駆動はできていたわけだから不思議はない。
今回は1.07C 相当の駆動である。
結局、高周波PowerTransistorの馬力が足りないだけだった。8/14
42.9545MHzのPowerMOS駆動
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この実験での結果
- 高周波PowerTransistorでは力不足でチタン酸バリウムディスクの駆動が
うまくいかない。大きいドライブ電力が必要で、現状のCobを吸収する
ドライブ方法を取っているので限界がある。ドライブ素子の耐圧が足りない。
- 隣の相の電圧低下の原因は高周波PowerTransistorのCobだった。
これが駆動している隣の相に存在して電圧を奪うことがわかった。
解消するにはベースからアースに向かって直流電流を流すことだった。
- PowerTransistorにて駆動実験を行った結果、
40MHz,42.95MHz,48.6MHz,67.1MHzと周波数が上がるに
従ってチタン酸バリウムディスクの内部での
合成がうまくいかなくなり、光速度の臨界点を超えて駆動しにくくなった。
- 高周波PowerTransistorを駆動力の大きいPowerMOSに変更して駆動すると
超光速の円偏向電磁場は実現できることが解った。
高周波PowerTransistorは期待外れで、ゲインが取れないことなど、
ドライブが難しいことがわかった。2C 付近の駆動は
定在波が発生しないため、効率が非常に悪く、
電圧が低くて駆動できたとは言い難い。時間反転は確認できなかった。
少なくとも40MHz以上の駆動では光速度以上になっていることがわかった。
本実験はそのまま保存して一旦、終了とし、後日再開する。
8/21/2005
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