竹取物語(かぐや姫) 円盤機関(UFO)研究による解釈
竹取物語は物語というよりは1つの事件を描写した記事と思う。 現実とはかけ離れ過ぎる高度な技術の記述があり、 単なる願望や思いつきでは書けない内容になっている。 類似の事件を元に執筆したものと判断している。 数少ない先進文明との接触を詳細に描いており、 その行動や言動から考え方が伝わってくる。 原文の現代訳は古典文学者にまかせるとして、 当方は円盤機関研究の一環から気になる部分に背景も含めて現代訳し、 技術的な検証と解釈を加えた。文字情報から映像化したラフ図も追加した。 さらにかぐや姫の母星の環境を推定した。
→現代訳
⇒技術的な検証と解釈

高度な技術を知らないと書けない部分
高度な技術の記述があり、単なる願望や思いつきでは書けない内容がある。
・この子の容貌はこの世にない清らかさ、部屋の中は暗いところが無く光が満ちている。
・御輿を近づけると、かぐや姫の姿は一瞬のうちに影と化した。
・大空より天人が雲に乗って降りてきて、地面から五尺上に立って列んだ。
・気合いを入れて矢を放ったが、撥かれて他へ飛んでいってしまい、荒々しく戦えなかった。
・屋根の上に空飛ぶ車を近づけると……閉め切った戸はすぐに開いた。格子戸も人がいないのに開いた。
・天の羽衣を着せると、翁を愛おしく、悲しく思う心は消え失せた。




・この兒の容貌清らなること世になく、家の内は暗き處なく光滿ちたり。
→この子の容貌はこの世にない清らかさ、部屋の中は暗いところが無く光が満ちている。
⇒端正な顔立ちで、色白、病気になりにくく肌もきれいなので清らかに見えた。居るだ けで明るい雰囲気を醸し出す意味と受け取れるが、物理的に光るとすれば光り輝く身 体は蛍光遺伝子を組み込んだものか。個体識別のために組み込んだ可能性があるが、 一種のおしゃれのようなもので、遺伝子レベルの入れ墨みたいなものとも思える。 罪人としての意味もあったかも知れない。 最新の遺伝子操作技術が注ぎ込まれた子供として登場した。

・竹取の翁、竹を取るに、この子を見つけてのちに竹取るに、節を隔ててよごとに金ある 竹を見つくること重なりぬ。かくて翁やうやう豊かになりゆく。
→竹取の翁が竹を取る時に、この子を見つけてからは節を隔てて節の間ごとに黄金の入 っている竹を見つけることが重なった。そうして、翁はだんだんと裕福になっていった。
⇒竹取の翁が好意で育てているのを知って、 それなら黄金(養育費)を贈ってやろうという思いがある。 翁が子供を養育するのはまったくの自由であり、やってもやらなくても良い。 売り飛ばしたり、面倒になって途中で放り出しても何の罰則もない。 ただ、翁の「思いやりの行為」だけに賭けている。 (その根底には翁の思いやりの気持ちがどうしても欲しい、 その好意や思いやりで育てられた姫に無限の価値がある。 自由の中に筋の通った規律をわきまえている養育でなければならない) そして、翁だけに黄金を与えるため、わざわざ竹の節の間に仕込んでいる。 金の存在比率は何処でもそんなに変わらないため、 金の価値は高く宇宙共通通貨として使えることを知っていて送っている。 翁はその黄金で屋敷を構えた。 その屋敷の規模は六衛府の武官……築地の上に千人、屋根の上に千人とあるので、 正方形の敷地なら2mに一人立っているとすると500m四方はあった。 屋根の1坪に一人立っているすると建坪は1000坪の建屋があることになる。 大げさ過ぎる気もするが、7万6千坪という広大な敷地に寝殿造りの 250坪の建物が4棟はあり屋根付き廊下で繋がっていた。 それが都からそれほど遠くない位置にあった。 かぐや姫は光って目立つためこの規模の屋敷が必要だった。 建築費用としては単価50万円/坪だと5億円になる。 およそ100Kgの黄金を使ったとみられる。 生活費は10名で1000万円/年とすると23年で2.3億円になる。 およそ46Kgの黄金を使ったようだ。 姫ひとりの養育費に随分とお金が掛かったものだ。 なお、大きな木造の建築物は惑星の木質の生産性の高さを示す。 宇宙人あこがれの住居だ。 石造りの住居は月面でも火星でも簡単にできるので価値が無い。

・御輿を寄せ給ふに、このかぐや姫、きと影になりぬ。
→御輿を近づけると、かぐや姫の姿は一瞬のうちに影と化した。
⇒御輿が近づき危険を察知してホログラムのようなもので姿を眩ました。イカのように 表皮色素を変化させられる?

・これを聞きてかぐや姫は、「さしこめて、守り戦ふべき下組みをしたりとも、あの国の 人を、え戦はぬなり。弓矢して射られじ。かくさしこめてありともかの国の人来ば、皆 あきなむとす。相戦はむとすとも、かの国の人来なば、たけき心つかふ人も、よもあら じ」。
→これを聞いたかぐや姫は、「閉じ込めて守り戦う準備をしたところで、あの国の人に 対して戦うことはできない。弓矢で射落とすこともできない。この ように閉じ込めていても、あの国の人が来たら、みな開いてしまう。応戦し ても、あの国の人が来たら、勇ましい気力もなくなる。」
⇒これを聞いたかぐや姫は、閉じ込めて守り戦う準備をしたところで、円盤機関の強い 補正場によって弓矢は撥かれ、扉は重さが無くなり勝手に開く。光放射によ る思考制御も行われるので戦う気力もなくなる。と言っている。かぐや姫は すでにあの国の戦い方を熟知していて、今の実力で守り戦うのは無駄ですよと忠告し ている。母星の科学をよく学習している模様。

・かの都の人は、いとけうらに、老いをせずなむ。思ふこともなくはべるなり。さる所へ まからむずるも、いみじくもはべらず。
→月の都の人は、たいそう華やかで、老いることもない。思い悩むこともない。元の所 に戻るのは嬉しくないと歎く。
⇒元いた都市は華やかで、老いることもなく、思い悩むこともないが、戻るのは嬉しく ないと歎いている。この情報はかぐや姫から出たもので、何らかの通信手段を持って いて知り得たものと思われる。

・かかるほどに、宵内過ぎて、子の時ばかりに、家の辺り昼の明さにも過ぎて光りわたり、 望月の明さを十あはせたるばかりにて、ある人の毛の穴さへ見ゆるほどなり。 大空より人、雲に乘りて下り來て、地より五尺ばかりあがりたる程に立ち連ねたり。
→宵が過ぎて、深夜0時ごろに、家の周りが昼の明るさ以上に一面に光りわたり、 満月の明るさを十倍にしたようで、そこにいる人の毛穴さえ見えるほどだった。 大空より天人が雲に乗って降りてきて、地面から五尺上に立って列んだ。
⇒かぐや姫の屋敷の上空に大きな母船が来て、目指す屋敷を探すために 強い投光器で照らした。地上の人は目がくらんで母船が見えなかったと思われる。 季節の移動用の大型母船を持ってきたので大きすぎて何だかわからないこともあったか。 母船には100 人を浮揚させることができる大掛かりな装置が装備してあり、 この装置よりある波動を放射すると物質の粒子性は波動に変換されて 重力の影響を受けなくなる。空気に当たると雲状に見える。 円盤から降りてきてこの雲に乗り立ち会いに参加しようとぞろぞろ降りてきた。 円盤に標準装備の装置では数人程度を吸い上げるだけだが、 この装置の話が出てくる記述はこの物語だけ。 知らなければ雲に乗るという記述はできない。 このとき始めて日本人は強い力を制御して重力に逆らう操作を目の当たりにした。 地面より1.5m の空中に立ち並んだ理由は地面が汚いので接地したくない。 降り立ってしまうと土足になり、帰るときにそのまま円盤に乗り込むと地球の細菌に 機内が汚染されて厄介だ。 また、空中に立ち並んだのは地上から襲撃されにくいようにしている。

屋敷上空の母船と全体俯瞰イメージ図

・中に心さかしき者、念じて射むとすれども、ほかざまへ行きければ、あれも戦はで、
→その中で気力のある者が、気合いを入れて矢を放とうとしたが、他の方向へ飛んでい ってしまい、荒々しく戦うこともなく、
⇒その中で気力のある者が、気合いを入れて矢を放ったが、強い補正場に撥かれて他 へ飛んでいってしまい、荒々しく戦えなかった、物理的に矢が撥かれたとみられる。 矢が撥かれる現象は円盤機関の特性であり、そのことを知らないとこの記述は書けない。

・立てる人どもは、裝束の清らなること物にも似ず。
→並んだ人の衣服はたとえようのない清らかさである。
⇒地面には降りないし、下記に汚いという記述が多数あることから感染防止の防護服だ ったと思われる。それが清らかな装束に見える。一般に菌が付着しにくい表面がつる つるしている白い生地を使う。このくだりは細菌やウィルス汚染だらけの地球にかぐ や姫を引き取りに来るため完全防備の防疫体制で迎えに来たと思われる。

・飛車一つ具したり
→空飛ぶ車を1台持ってきた。
⇒空飛ぶ円盤すなわち円盤機関を1台持ってきた。 球形コンデンサーが見える直径が小さいアダムスキー方式を持ってきたので、それが 車輪に見えた。サール方式であれば球形コンデンサーがないので皿という表現になる。 わざわざ一つと記述していることから他にも数台来ているという意味もある。 推定として、かぐや姫のお迎え用に特別にあつらえた新車と思われる。 この円盤機関はかぐや姫専用の空飛ぶ車として、以後長く使われるとみられる。 先進文明の威信を掛けた豪華な金張り外装仕様か。 100 人も立ち会いしているのに安物のはずがない。

・羅蓋さしたり。
→薄い絹を張った傘をさしたようだ。
⇒アダムスキー方式の円盤の丸屋根が薄い絹を張った傘のように見えた。 形状をたとえて表現した。形状はまさにぴったり。 その頃の牛車の屋根は平らになっているので、 丸い形状が目に付いて羅蓋という表現になったと考えられる。 雨も降っていないのに傘をさす必要はないし、彼らの風習としては考えにくい。 もし、車に羅蓋がさしかけてあるという解釈をするなら、雨よけ、日よけということから車 より大きくなくてはならない。威厳を出すためにも車より大きい必要がある。 小さいとちんどん屋のようになって戯けたように見えて逆効果だ。 屋根に近づけて格子戸が開くほどの影響が出る円盤機関の直径は推定として5〜10mはあるはず。 すると最低でも傘の直径は5mは必要で、面積は12畳もあり、 重さは20Kgもあって一人では支えられない。ちょっとでも風が吹けば人も 一緒に飛ばされてしまう。車に羅蓋がさしかけてあるという現代訳は不適だ。 サール方式では直径が大きすぎて庭の樹木に当たったり、 建物の庇に当たったりして危険なのでこの作戦には使わないと思われる。

庭園に降りてきた天人の王と翁の問答俯瞰ラフ図
屋根の形状が羅蓋そっくりということで優美な曲線と推定した。 逆ピラミッドや平べったい形状は考えにくい。 かぐや姫連れ戻し作業班がかぐや姫を確認すると空飛ぶ車は庭に空中静止する。 母船の操作係が雲を造ると、道具を運び出し人員が出てくる。 100 人のうちの立ち会いの人員は作業班 の行動の妨げになるので、やや遠くから眺めることになる。 作業班の構成は護衛3名、天の羽衣担当2名(服飾士、看護士)、 不死の薬担当2名(薬剤師、医師)、 天人の王(指揮官)、介添えの女天人2名と推定している。

・その中に王と覺しき人、「家に造麻呂まうで來」といふに、猛く思ひつる造麻呂も、物 に醉ひたる心地して俯しに伏せり。いはく、「汝、をさなき人、
→天人の王と思われる人が家に向かって「造麻呂、出て参れ」と言うと、勇ましかった 造麻呂は酔ったようになってうつ伏せになっている。王は「お前は幼い、
⇒天人の王が、空から降りてきていきなり翁の名前を呼ぶのはあり得ない。 事前にかぐや姫から情報が伝わっていたはず。 光放射による思考制御も行われたようで、翁は酔ったようになった。 天人の王が70歳(50歳)の翁のことを幼き人と言うのはおかしい、 天人との時間の認識が違う現れ。 天人の寿命は長く70歳(50歳)でも幼いと思っている。

・いささかなる功徳を翁つくりけるによりて、汝が助けにとて、かた時のほどとて降しし を、そこらの年頃、そこらの金賜ひて、身をかへたるがごと成りにけり。かぐや姫は、 罪をつくり給へりければ、かく賤しきおのれがもとに、しばしおはしつるなり。罪の限 果てぬれば、かく迎ふるを、翁は泣き嘆く、能はぬことなり。はや返し奉れ」と言ふ。
→ちょっとした善行を翁が行ったので、お前の助けにと、少しの間かぐや姫を降ろした のに、多くの年月、多くの黄金をもらって、見違えるようになってしまった。かぐや 姫は罪をお作りになったために、このように卑しいお前のところに、しばらくおられ たのだ。罪を償う時期が終わり、このように迎えに来ているのに、お前は泣いて嘆く、 かなわぬことだ。早くお出ししろ。と言う。
⇒ちょっと良いことをしたからと、かぐや姫を長年養育した成果に対して、ねぎらいの 言葉がこれだけだ。お前のためにと、かぐや姫を与えて多くの黄金を付与したおかげ で見違えるようになったではないか。と恩を着せたような言い方だ。しかも身分の低 い卑しいお前のところにしばらくおられたのだ。と言っている。確かに多くの黄金を もらったが、規則の範囲内でしかなく、それを無駄使いすることもない。有効に黄金 を使い屋敷と使用人を構えて、かぐや姫を一流に育て上げた。 それを迎えに来たのだから及第点のはずだ。 酒や博打に溺れたり、女を囲うようなこともしていないし、かぐや姫もあばずれ女に なっているわけでもない。実直に働くサラリーマンを思わせるまじめな生活をしてい る。その成果としてのかぐや姫を力ずくで取り上げれば泣くのは当然だろう。なのに 天人の王は手厳しい。多くの黄金を与えたし、かぐや姫としばらく生活できたのだか ら充分だ、早く返せと言ってくる。本来なら、高い評価がなされるべきだ。 かぐや姫を連れ戻すという要求は強い。

・翁答へて申す、「かぐや姫を養ひたてまつること二十年餘りになりぬ。かた時とのたま ふにあやしくなり侍りぬ。
→翁は答える。かぐや姫をご養育して20年あまりになりました。天人はわずかな時と言 うがおかしい。
⇒かぐや姫をご養育して20年あまりにもなりました。と言うと、 わずかな年月だよ。と一蹴され、それ以上言うことが出来ない。 ここでも天人の王と翁の時間感覚が違っている。 翁は20年あまりも苦労したのだが、認められることはなく評価されない。 おかしいではないかと首をかしげている。

・屋の上に飛車を寄せて、「いざかぐや姫、穢き所にいかで久しくおはせむ」といふ。立 て籠めたる所の戸、即ちたゞ開きに開きぬ。格子どもも人は無くして開きぬ。女いだき てゐたるかぐや姫、外にいでぬ。
→屋根の上に空飛ぶ車を近づけ「さあかぐや姫、こんな汚い所にどうして長く居るのか」 と呼ぶ。閉め切った戸はすぐに開いた。格子戸も人がいないのに開いた。媼が 抱いていたかぐや姫は外に出た。
⇒屋根の上に円盤機関を近づけたので補正場の領域に入り、 戸や跳ね上げ式の格子戸は重さが無くなり勝手に開いた。 戸や格子戸のスピンは機関に同期していないので、撥かれたように開く。 円盤機関の基本的な動作と外部に及ぼす影響が記述されている。 この部分は単なる思いつきで書くことはできない。 実際に起こった物理的な現象を知らないと書けない部分だ。 これは当方の実験結果と合致し、この物語の信憑性は高い。 このようなことが1100年前の文書に記述されているとは驚きに値する。 格子戸から約10mの距離があれば機関の直径10m以上は必要だろう。 外部に10mの補正場が発生するような強力な円盤機関であり、 俯瞰ラフ図よりは大型だった可能性がある。 穢き所とは人に有害な細菌、ウィルス感染症が制圧されていない 汚い場所。こんな汚い所に長く居たら病気になるぞ。奥のかぐや姫に聞こえるように 拡声して呼んだものと思われる。様子を察知したかぐや姫はすぐに外に出て姿を見せ た。ほとんど追い出したのに等しい。 出てこない場合は実力行使になって、屋根の上の武士など無視して 空飛ぶ円盤で屋根すれすれに高速で飛行し、屋根を引き剥がすことになる。 上空から見えるかぐや姫を吸い上げて収容することなる。 このとき人物を特定して狙いを定める必要があり、 蛍光を発するかぐや姫は識別しやすい。 そのためわざわざ深夜にこの作戦を実施した。 昼間のほうが作戦しやすいと思えるが、明確な理由があった。 かぐや姫は天人のやり方や実力をすでに知っていたので、 すぐに外に出て姿を見せ、屋敷を壊されないように行動した。

縁側に立つかぐや姫と空飛ぶ車と天人達、目線ラフ図

・脱ぎおく衣を形見と見たまへ。
→脱いで残しておく着物を、形見と思ってご覧ください。
⇒形見に残すと言い訳して着物は脱いで残していった。 かぐや姫は大切にされていたので、良い着物のはず。 本人は思い出に着て帰りたいところだが、 以下の二つの理由で認められなかった。
・消毒されているはずもないので脱ぐように指示されていた。 母星に地球の細菌やウィルスを持ち込みたくない。
・待機している円盤機関の周囲には高周波があるため、 導通があるような木綿の衣服は不適で、発火の恐れがある。 絹でも織物にごみや汚れがあると発熱して焦げる。 安全のためには化学繊維の絶縁性の高い衣服が必要。
乗り込むときに突然着替えろという指示が出て 混乱するような事態になっていないので、 最初から脱ぎ捨てることが前提になっていた。 今の衣服のままでは円盤には乗れないと 知らされていたと考えられる。 下着も含めてすべて天の羽衣に着替えた。

・見捨て奉りてまかる空よりも、落ちぬべきここちする。
→見捨てて円盤で空を飛んでいくが、落ちるような気がする。    
⇒お爺さんとお婆さんを見捨てて円盤で空を飛んでいくが、後ろ髪引かれるようで落ち るような気がする。養育してもらって何も親孝行しないで、そのまま飛んでいくとバチが 当たって途中で落ちそうだとも受け取れる。 春先に迎えが来ると連絡を受けた時点で、お爺さんとお婆さんはすでに用済みで、 最期を看取る必要もなく帰れることが確実になったが、 恩を感じて別れが辛く、見捨てるという表現がいかにも日本人的である。 そのように育てられたと言える。

・壺なる御藥奉れ。穢き所の物食しめしたれば、御心地惡しからむものぞ」とて、持てよ りたれば、聊か嘗め給ひて、
→壺の薬をお飲みください。穢れた所の物を食べて気持ち悪かろう。持ち寄るとわずか に舐めて、
⇒壺の薬をお飲みください。衛生状態の悪いものを食べて気持ち悪い。 汚い所の食べ物とそれを食べていたかぐや姫の両方が汚いとも受け取れる。 少なくとも壺の薬を舐めれば少しはきれいになる。持ち寄るという表現から 短い距離を移動したとみられ、このときにはかぐや姫は すでに雲に乗っていたと思われる。 雲の下に行っても浮き上がるわけではなく、 掴むところもないため、よじ登ることはできない。 かぐや姫に浮遊ビームを照射して1.5mの高さに なるように照射係が操作したと思われる。 体の重さが減少すればガス風船のように大気圧の浮力で浮き上がる。 ただし、完全に無くしてしまうと大空に舞い上がってしまう。 慣れていないと転倒するので最初は介添えの天人が支えたと思われる。 かぐや姫は警戒して薬をわずかしか舐めない。 かぐや姫の暮らしぶりは良いはずだが、この時代の衛生状態は天人との感覚では大差があ る。野蛮なゲテモノ食(寄生虫がいるようなイノシシ肉、シカ肉、雑穀等)で汚いと 決めてかかっている。ここにいる天人はかぐや姫が何を食べていたかをすでに知って おり、事前に薬を用意して持ってきている。

庭園に降りてきたお迎えの天人一行の俯瞰ラフ図


・少し形見とて脱ぎおく衣に包まむとすれば、ある天人包ませず、
→形見として残す着物に少しの薬を包もうとすると、天人は包ませなかった。
⇒衣というのは小さい布、すなわち上着の唐衣に薬を包もうとしたのだろう。 このときには着替え始めており、裳を脱いだ後でないと唐衣は包むのに使えないので、 介添えの者が着替えを手伝ったと思われる。 事前に介添えの女天人2名が抜擢され待機していたはずだ。 手伝ってもらったことからかぐや姫は介添えの者の作業範囲に居たと判断できる。 元来、十二単は一人では脱ぎ着できないものであるし、宇宙船に搭乗するのに 一番適していない衣服だ。おおすべらかしの髪型は背丈くらい長い。 おそらく盛装していた。介添えの者が絶対必要になる。 これを不安定な雲の上で着替えることになり大変だったろう。 天人からすると触ったこともない衣服で、どうなっているのか解らないし、 紐や帯があり、呆れるほど何枚も重ね着して、袴もはいていたから 脱がせるだけでも時間が掛かった。 無理に引っ張れば不慣れなかぐや姫は転倒しただろう。 かぐや姫は一人の女天人の肩に掴まって立っていたと思われる。 将来的にもこの介添えの女天人2名はかぐや姫専属の侍女になると思われる。 薬を取り上げて包ませなかったのは今まで着ていたシラミ や雑菌だらけの不潔な着物に包んだら薬がダメになるからだ。 当時の人には何の問題もない普通のことで、天人だからこそ取った行動である。 推定として、天人がこの薬を大切にしていることから貴重なものであると思われる。 どこにでもある薬であればかぐや姫が使い終わったら庭に投げてしまってもいいはずだ。 かぐや姫は形見として残す唐衣に薬を包み、そのまま献上させようと考えていた。頭中将が 献上するにしても唐衣に包まれた薬のほうが真実味が増す。それを見るであろう帝も 見たことがある唐衣に感慨深いものがあるはずだ。 物語の創作としてはそのほうがもっともらしく筋が通り、 思いも深まる。執筆者としてはそのように書きたいはずだ。しかし、天人の判断で阻 止されたことを正確に記述している。ここは実際あった事を優先して描写した部分と 考える。天人との衛生観念の差が見て取れる。かぐや姫が母星に帰還すれば最初から 衛生教育のやり直しになるだろう。地球でのいつもの癖が抜けずに汚いと言われてい るかも知れない。

・御衣を取りいでて着せむとす。その時に、かぐや姫「しばし待て」と言ふ。「衣着せつ る人は、心異になるなりといふ。もの一こと言ひおくべきことありけり」
→天の羽衣を取り出して着せようとすると、かぐや姫はちょっと待てと言う。この衣を 着ると心変わりするという。一言言い残しておくことがある。
⇒天の羽衣を取り出して着せようとすると、かぐや姫はちょっと待てと断った。この衣 を着ると心変わりするというのは、思考制御機能付きの天の羽衣で、恐怖や悲しいと きに感情中枢の活動レベルを下げ安心をもたらす。かぐや姫の精神状態を考慮し、 空飛ぶ車に乗せるときにこれを着せて落ち着かせようとしている。しかし、すでに天の羽衣 はいやなものと知っていたので自分から着ようとはしない。ちょっと待てと言って時 間稼ぎする。心変わりすると手紙が書けなくなるから。この場合、かぐや姫の救出時 の混乱防止のため使用した。人権無視だ。

・もの一こと言ひおくべきことありけり」と言ひて、文書く。天人、おそしと心もとなが りたまひ、かぐや姫、「物知らぬことなのたまひそ」とて、いみじく静かに、公に御文 奉りたまふ。あわてぬさまなり。
→一言言い残しておくことがある。」と言って、手紙を書き始めた。天人は、遅い、と じれったそうで、かぐや姫は、「聞きわけのないことをおっしゃらないで」と言って、 とても静かに、朝廷(帝)に差し上げる御手紙をしたためた。慌てる様子はない。
⇒かぐや姫は天の羽衣を着せようとする天人の言いなりにはならず、手紙を書くと言っ て反抗する。もの一こととは相撲審判の「もの言い」とも解釈でき、文句を付けてい る節もある。遅くなってしまうぞとせかされても、物の道理を知らないようなことを言うなと強 く応酬している。この間、上空の大きな母船と数台の円盤も空中静止させ たまま待機させていることになる。手紙と短歌を書くには文机の前に座って硯に水を差し、 墨を摺って筆で書くわけだから推定10分くらいは平気で待たせている。 かぐや姫は天人達の中にいると思われ、 屋敷に戻って書くとは考えにくく、雲まで道具を持って来させて書いたと思われる。 天の羽衣を着せようとする天人は手紙を書くための道具を知らないので、 手紙を書くといきなり言われてもどうしていいか分からず、手間取ったと思われる。 そのうちかぐや姫が大声で屋敷の奥の使用人を呼んで 硯と墨と筆と和紙を載せた文机を持って来させたと思われる。 使用人はすでに気が動転して怖じ気づいているのでさらに時間がかかった。 雲の上ではこれらの道具は不安定なので介添えの女天人が押さえる必要がある。 硯は滑って動くし、墨が浮いて流れれば書き直しになるし、衣服は汚れる。 雲の下の空気も軽くなるので下から少し風が巻き上がって、 紙が浮き上がり書きずらいと思われる。 破れ補正しているから墨の表面張力が低下して筆 に染み込まず、文字がかすれやすい。 かぐや姫も不安定な雲の上で手紙を書くのは難しかったはずだ。 雲の上で座ること自体バランスが悪くなるのでしない体勢だ。 それを承知の上で、液体の墨で文字を書くという 雲の上でやらない作業を意地で実行している。 降りてきた100 人には破れ補正して浮かせたたままだ。 この群衆が見ていても何と無理なことをやっているんだと思うだろう。 このまま時間が経つと浮揚装置と数台の円盤の電源切れを起こすので、せかすわけだが、 それでも責任者の天人の王はかぐや姫に文句も言えず、わがままを黙認している。 別れる時に手紙を書くことはこの惑星のしきたりであり、 後腐れのないように我慢するしかなかった。もし、待ちきれずにかぐや姫に布袋 でもかぶせて円盤に押し込むようなことをすれば、後で問題になるのだろう。わがま まを黙認したのはかぐや姫の地位が復活したことを意味している。

・壺の薬添へて、頭中将呼び寄せて奉らす。中将に天人取りて伝ふ。 中将取りつれば、ふと天の羽衣うち着せ奉りつれば、翁をいとほしく、 かなしとおぼしつることも失せぬ。 この衣着つる人は、もの思ひなくなりにければ、 車に乗りて、百人ばかり天人具して昇りぬ。
→手紙に壺の薬を添えて頭中将を呼び寄せて帝に差し上げるようにした。 中将に天人が取り次いで渡した。 中将が受け取り、さっと天人が天の羽衣を着せると、翁を愛おしく、 悲しく思う心は消え失せた。この衣を着ると思い悩むこともなく、 車に乗って100 人のお供を従えて昇っていった。
⇒頭中将を呼んで手紙に壺の薬を添えて渡そうとすると、介添えの天人が取り次いで 中将に渡した。取り次いだ理由としては かぐや姫は雲に乗るのが初めてであり、 雲の端の限度を知らないので転落の恐れがあった。 機転を利かせた天人が間に入って中将に手渡しした。 また、地位が復活したかぐや姫の手を煩わせないように心遣いした。 硯と筆と和紙を載せた文机は返さないので持って帰ったか、去った後に庭に落ちている。 隙を見てさっと天の羽衣を着せて連れ戻せばいいという感じがあり、 了解を取って着せることはしていない。 これ以上時間をとりたくなかった。 本来であればお爺さんとお婆さんに手を取り合って別れるのだろう。 なんとも味気ない別れとなっている。 思考制御されて振り向きもせずに去って行くところが、 いかにも先進的な感じがする。100 人という大人数の体制は異例と見る。数人もいれ ば充分のはず。かぐや姫に帰ってきて欲しいという願望の現れと思えるが、大げさ過 ぎる感じもする。具してという言い方も百人を従えて昇っていくことなので、 地位の高さがわかる記述である。重要な人物のお迎えと判断できる。 連れ戻す費用は下記参照

この物語の評価
文字だけの情報しかないが、当方にとっては充分なもので大変ありがたい。月からの使者 やかぐや姫の昇天部分は客観的で非常に詳細に描写されており、聞き取り取材したと思わ れるくらいである。登場人物の心情に主眼が置かれており、日本人になじむものとなって いる。日本語が1100年経ってもあまり変化していないということもあり、原文でも状況把 握ができる。場合によっては原文のほうが的を得ている表現もある。物語を創作するにし ても、竹藪で拾った子供の成長記録だけでも充分のはずである。現実とはかけ離れ過ぎる 事柄が目立つ。だから伝承されてきたということはあるが。抜き出してみると、異常に小 さい新生児、光る身体、竹の節の間の黄金、短期間で成長する、姿を眩ます、深夜に昼間 のように明るくなる、空飛ぶ車が出てくる、大空より雲に乗って大勢降りてくる、地面よ り1.5m の空中に100人も並ぶ、思考制御機能付きの衣がある。どれも極端だ。迎えの一行 が遠くから輿や馬に乗ってやって来るくらいでもいいはず。何も空から来なくても成り立 つ。空飛ぶ車や雲に乗ったり、空中に100 人も並ぶ必要性がどこにあるというのか。もし、 こんな事が目の前で起これば現代人でも腰を抜かす状況だろう。この極端な事柄は1100年 も前に思い付くはずがない。ヒントになった事件が存在したと考えられる。読者がおもし ろいのはかぐや姫がお嫁に行くのを阻止する部分で、5人のお婿さん候補が個々の難題に 全滅してしまうところである。この部分は脚色されたように思う。登場人物と天人との衛 生観念の違いがよく現れている記述が随所にみられるが、これはあまりおもしろい部分で はない。この頃の衛生状態は良くなかった。当時の人には普通のことなので気が付かない。 天人だけが穢い、汚いと言う。また、時間感覚が違っていることなど物語の進行とは関係 ないし、つまらない。これらのことから実際にあった事件を元に忠実に記述したものと判 断している。特に「脱ぎおく衣に包まむとすれば、ある天人包ませず、」のくだりは現実 感がある。天人の世界と1100年前の日本を描いているが、 どちらか一方に肩入れすることも無く、有りのままの真実だけを記述してある。 宗教臭さはまったく無い。かぐや姫が月に帰りたくないと言ってることも さり気なく2ヶ所に書いている。 執筆されて1100年後に当方の未熟な見識で検証してみたが、不足感は否めない。 さらに年月が経過して1500年もすれば理解が深まるだろう。 すべてが解明されてもなお、永久不滅の物語として存在するに違いない。 すでに1100年も経っているが、天人のやったことが未だ実現出来ていない。史実を描写し たので作者不詳となっている。通常、瓦版や新聞に作者名はない。竹取物語は日本だから こそ正確に伝わった。数少ない先進文明との接触を詳細に描いており、その行動や言動の 背景から考え方が伝わってくる。当初の目的を達成しており、作者には敬意を表したい。 見方を変えると他文明への不干渉という宇宙の掟を破ったという事実が記録として 残り、言い訳のできない証拠となっている。 最後に物証になる手紙、不死の薬と壺は富士山で焼却されてしまい残念だ。

ヒントになった事件を推定
この物語の元になった事件があったはずだ。子供のいない夫婦が光る身体を持つ子供を育 てているという噂が立ち、地域の有力者が見に行ったらいた。捕らえようとしたら姿を眩 まして逃げられた。夫婦の言うことはよく聞き、賢かったが、いたずらはたくさんやっただろう。 夫婦はなぜかお金持ちで使用人を雇っていた。この子供は優秀で、短期間で大人 になり何でもできただろう。言語の習得、読み書き、身の回りの整理整頓、礼儀作法や行 儀作法、教養を身につける。女だったらそれなりに綺麗だった。通信手段も手に入れ、勉 学に励んだ。地球文明を一通り習得した個体として評価され、このままではもったいない と、空飛ぶ車の回収部隊がやってくる。空から人間が降りてきて、見たこともない服を着 せる。連れ帰ろうとするが、なかなか帰りたがらず手こずった。このとき、地域の有力者 が戦いを挑んだが、ことごとく跳ね返された。こんな事例があったに違いない。 帝や5人の貴公子の話は後からの付け足しだろう。この物語には出てこないが、知能が高 いので、色々なことに取り組んだだろう。武術の習得、馬を乗りこなす、楽器を演奏する。 ペットなども飼育して、闘鶏などの賭け事や、酒も飲んだだろう。グルメで高カロリー食が 好きだった。女だったら部屋の調度品や工芸品集め、食器、着物、化粧品など派手好き で凝っただろう。子孫は残すなという指令があり、適当にあしらっていたはずだ。

かぐや姫についての解釈
母星は規則が厳しく「罪をつくり給へりければ」とあるように問題を起こして追放された ものと推察される。それまでの肉体や経験、思考はすべて否定されて絶たれ、遺伝子情報 のみの存続が認められて、母星での再生さえもあり得なかった。つまり死刑になって違う 惑星で復活すれば生存が認められるという厳しいものだった。だから、かなりの悪事を働 かないとこういう刑罰はないと思う。推定として、母星は平和で安定した先進文明とは 言い難い状況にあると思われる。何の問題も無ければ不自由で医療もないようなところに 来る必要もない。黄金を贈ったり、連れ戻しに来る必要もないはずだ。 天人の王は以前のかぐや姫の罪状について知っては いるが、翁や媼の手前もあるし、恥さらしにもなるので詳しくは言わなかった。 宮中に出仕するのは、自分はここで生まれたわけではないのでしっかりと断っている。か ぐや姫は元の所に戻るのは嬉しくないと歎いていた。例え衛生状態が悪くても人々は親切 でやさしい、うるさい規則もないし、地球の方がいいと思っているが、抵抗しても無駄だ から帰るか。といった感じだ。母星にいたときよりも地球上で自由に生活して良い思いを していたのではなかろうか。しかし、ここで朽ち果てると流刑地で死んだことになって、 負けたことになり帰りたいという気持ちも少なからずあったろう。敗者復活なのでまじめ にやっていたということもあるか。天人の王は力ずくでかぐや姫を連れ戻そうとした。か ぐや姫はこのやり方に反抗して朝廷への手紙を書くと言い出し、手こずらせる。案外、か ぐや姫はキレやすかった。不安定な雲の上で十二単の着替えとか、 座って墨で手紙を書くといった無理な作業を意地で実行した。
連れ戻す理由として罪を償う時期が終わったからと言っているが、彼らの時間感覚からし て20年あまりの時間はごく短い。先進の惑星で死刑になったような悪事を働いたわけだか ら、そう簡単に刑期が終わるはずはない。刑期は繰り上げて恩赦になっていると思われ る。また、これ以上地球で生活すると老化していくという肉体的な問題もあったろう。か ぐや姫がごねる理由は戻りたくないからだが、23歳くらいの姫が戻ったところで何ができ るのか疑問にも思うが、母星側の事情があったと思われる。戻れば“まともになったかぐ や姫”にしか出来ない難易度の高い仕事が待ちかまえていて、責任も大きく、これがイヤ だから戻りたくないと推定している。 かぐや姫は地位が高く、翁に好意や思いやりで育てられ 自由の中に筋の通った規律をわきまえているので国策レベルの重要な判断を仰いだと思われる。 迎えが大人数であることからかぐや姫への期待も大きい。
かぐや姫が出した難題の中で火鼠の裘(かわごろも)=不燃布、耐火服は知っていたもの と思われる。我々の文明レベルを理解した上での出題だった。
かぐや姫のいはく、「よくもあらぬかたちを、かぐや姫、よきかたちにもあらず。」と2 ヶ所に自分はそんなに器量好しではないとも言っている。また、使用人たちも「心ばへな どあてやかにうつくしかりつることを見慣らひて、」とある。決して器量好しとは言って いない。うぬぼれることもないので、母星では月並みなのだろう。容姿は日本人と遜色な かったものと思われる。異端児であれば殺されるからで、違和感があるといった記述は一 切無い。「うつくしきことかぎりなし。いと幼ければ籠に入れて養ふ。」と記述されてい るので、養育したいという本能を刺激するかわいい子供だった。遺伝子操作は自由にでき るらしいのでの色や髪の色、瞳の色など好き勝手なタイプが存在するだろう。かぐや姫 の名の由来は個体識別のために蛍光遺伝子を組み込まれ身体が輝く姫という意味だ。かつ て昔の日本では罪人に入れ墨をしていたが、遺伝子レベルの入れ墨とは先進的だが、非情 とも言える。それが可愛い女の子だったというのも悲しい。蛍光蛋白質を生成できないよ うに抗体を投与すれば消えるだろうが、当時の地球では遺伝子レベルの話なので改竄は不 可能だ。本人は身体が輝くことについて一切言わない。自慢もしなければ言い訳もしない。 後ろめたいことがあったから何も言わないと考えたほうが妥当なのかも知れない。 かぐや姫が月を眺めては嘆いて思い悩むのは、単に翁や媼と別れるのがつらいというだけ でなく、春の初めころに前世の真実を知らされたからだ。今の境遇は生まれた惑星で暮ら しているのではなく、別の惑星に流刑になっているではないか!何でこんな宿命になって いるのか!と自問自答して嘆いていた。「かくわずらはしき身にて侍れば、」と自覚して 言っているが、本当は真っ当な人生を歩みたかったはずだ。しかし、真実は違っていて、 重大な汚点のある経歴なのだ。驚くべき数奇な運命を背負った人生だ。天の川銀河広しと 言えどもこれ一件きりの例外的な事例だろう。だから物語となって受け継がれ、1100年を経ても なお日本人なら誰もが知っている。

天人の王の評価
お供の天人の人数から大きな母船と5台の円盤を指揮してかぐや姫連れ戻し作戦を 実施した。現場立ち会いのために100 人の浮揚装置を装備する母船でやってきた。 中隊規模の作戦と言える。 この中隊長の天人の王はかぐや姫のいきさつを以前から詳細に知っており、 現在の状況も把握していた。かぐや姫から地球側の代表は翁であり名前は造麻呂と知らされていた。期日に迎えに行くと 屋敷や塀に武士がたくさんいたこともあり、天人の王は高飛車にかぐや姫を連れ戻そうと する。翁の20年あまりの苦労を認めることもなく、納得するような連れ戻す理由やお礼を 言うこともない。気持ちを静める褒美の品も用意していない。当然、翁は納得しないので、 かぐや姫を表に出そうとせず拒否する。仕方ないので、実力行使に出て屋根の上に飛ぶ車 を近づけかぐや姫を追い出した。落胆している翁に近寄って慰めるかぐや姫だが、実はこ のやり口に憤慨してキレており、ごね出して思いつきで朝廷への手紙を書くと言い出す。 この土壇場で朝廷への手紙など書く必要はなく、書きたければ事前に用意してあるはず。 元々、書く気はなかったもの。ここで100 人を待たせて膨大な無駄遣いをした。このままでは 降りてきた100 人の浮揚装置と数台の円盤の電源切れを起こし墜落の恐れがあった。 スペースシャトルで飛び上がったけれどそのまま空中静止しろという指示に等しい。操縦 士から叫声があがっただろう。こうなっても責任者の天人の王は我慢するしかなかった。 内心、失敗したと思ったに違いない。地球人はどうにでもなるが、身内のかぐや姫はそう はいかない、さらに地位が高いので怒鳴りつけることもできない。かぐや姫は怒鳴られな いのを承知で悠々と手紙を書いていた。数百光年も遠いところからわざわざやって来たのに 今ごろ手紙を書くとは!周囲からは何をやっているんだ!というヤジも飛 んだろう。この指揮官は思いもよらない行動に出たかぐや姫に手こずってイライラしてい た。冷や汗ものだったに違いない。おそらく、現場での作戦時間は決まっていて、 それを過ぎてしまってぎりぎりで作戦が終了したものと思われる。 かえって、翁とかぐや姫に丁寧な対応をしたほうが全体 の時間が短かかったはずだ。そうすればこの手紙はなかったと思われる。 この作戦を指揮した天人の王の仕事はやっつけであり、人心を読む力も弱く、 場当たり的で良い評価はあげられない。 作戦の日程は半年も前から決定されており、事前準備が出来たにもかかわら ず怠っていた。行けばなんとかなるという甘い考えでいた。 かぐや姫がもっとごねて、姿を眩ますことになったらこの作戦は失敗する恐れもあった。 かぐや姫の僅かばかりの「心遣い」によってなんとか面子が保てたに過ぎない。 円盤機関や人体浮揚の技術を使いこなす先進文明の責任者とは思えない手際の悪さがあり、 もっと準備や気配りが必要だった。 かぐや姫の父母や上司に帰還報告をしても、 杓子定規なやり方に一部の参加者から異論が出ただろう。後々、 この天人の王とかぐや姫の関係は芳しくないと思われる。関係者全員が納得して一切禍根 を残さないようにするのが責任者の努めだ。理想にはほど遠い作戦内容であり、翁・媼と かぐや姫の双方にわだかまりを残す結果になっている。 楽しい物語になっておらず、聞いた話をそのまま書いただけと思える。

理想的なかぐや姫連れ戻し作戦を実施するなら以下のようになるだろう。
最初に屋敷の人数を減らすために屋敷の外を明るくし、数台の飛ぶ車で金箔を撒く。 これを取りに人々が殺到し、屋敷の外に出せる。 この部隊と戦うものではないと認識させる効果がある。 屋根や塀の上の武士は空飛ぶ車で威嚇し、戦う気力をなくす。 場合によっては補正場を下げて飛行し、風圧で塀の上の武士を蹴散らすことができる。 安全確保のため頭中将を呼んで戦う意志が無いことを伝え、戦うことを中止させる。 頭中将に帝への伝言を伝え、かぐや姫が成人できた礼を言う。 翁を呼び出し、かぐや姫を長年養育した成果を褒め、ねぎらいの言葉をかける。 その見返りとして多くの黄金を与える。 かぐや姫を連れ戻す理由(刑期が終了したこと、母星に連れ帰る必要があること) を言って説得し、表に連れてくるように言う。 出てきたかぐや姫には両親からの伝言を言って帰る気にさせる。 ここで皆と手を取り合って別れを告げ、かぐや姫を空飛ぶ車に乗せ去っていく。 翁と媼はひどく落胆することもないので、かぐや姫は手紙を書き置く必要もなく、 まして、朝廷への手紙など書かない。 かぐや姫は取り乱すこともないので天の羽衣を着せる必要もない。 基本的な方針として関係者全員の理解が得られるような 「思いやり」や「気配り」を生かした方策で進める。 反抗する者がいないので最短時間で作戦が終わる。 時間が余るので屋敷の周りを低空で旋回して編隊飛行もできる。 かぐや姫が乗った金張りの空飛ぶ車を先頭にして5台で編隊を組むだろう。 お礼に金箔を撒いて去っていくと更に素晴らしい。 これなら夢のようなめでたしめでたしの結末となるが、 原文は高飛車で横柄な天人の王とそれに反抗するかぐや姫、 落胆する翁と媼を描いており、後味の悪い筋書きになっている。

この物語から得られたこと
1.月の都では思考制御が行われている。3ヶ所に記述がある。 2.母星に地球の細菌やウィルスを持ち込まないよう注意している。以下は天人の衛生観 念がよく現れている記述。 3.天人の王と翁の時間感覚が違っている。 4.空飛ぶ円盤はアダムスキー方式を裏付けする記述。 5.かぐや姫は母星に戻りたくないと言っている。2ヶ所に記述がある。
6.言語の疎通に問題がない。
天人の王と壺を持った天人との会話は日本語で行われ、かぐや姫、翁とも疎通に問題 がない。翻訳機を使ったような気配もない。かぐや姫に接する天人は当時の日本語を習得 しているとみられる。もしかすると日本語自体が宇宙の一部の文明圏で使われている言語かも知れない。 実際にはかなりの会話が行われ、その一部が物語として記録されただけと思われる。 かぐや姫の連れ戻しのためだけに日本語を習得している可能性もある。 鳥類から進化した人間タイプだとすると知能が非常に高いと思われる。 地球の常識ではただの1回のために言語の習得までやらない。

7.安全が配慮されている。 この連れ戻し作戦で怪我や事故が起こらないようにしている。実際、起こっていない。
かぐや姫の母星の状況を考察する
  • 車に乘りて百人許天人具して昇りぬ。
    車に乗って100 人のお供を従えて昇っていった。
    100 人という大人数の体制は異例と見る。数人もいれば充分のはず。 突如100 人で訪れて見物するという手慣れた行動を取っている。 もし、戦いになっても抑え込めると判断した結果だろう。 そんな大規模な高速移動の手段が必要な環境について考えると、 温暖で季節変動が小さい惑星だと移動する必要性を感じない。 住居の環境が夏冬で耐えられるのであれば移動する必要はない。 冷暖房設備で凌げれば同じ場所に住み続ける。 しかし、地軸が大きく傾いて楕円軌道の惑星では夏は白夜が 8か月も連続し、冬は暗闇が4か月も続く極夜になる。 当然、移動したくなるわけで渡り鳥のように 荷物を持って『渡り』をすることになる。 毎年使うのでしっかりした乗り物が必要になり、最終的には円盤機関になる。 長さ3kmもある巨大な宇宙船は何のためにあるのだろうと疑問に思っていたが、 惑星規模での移動に使うと思われる。2700万人が乗ることができる。 地球ではそのように大きい宇宙船を造っても必要性がないため採算が合わない。 地球の傾きは23.4度でありほとんどの場所で日は射して 冷暖房設備で凌ぐことができる。ある意味で怠け癖がついてしまっている。 移動する必要性を感じないためハイテクな乗り物が出来にくい環境にある。 自動車や航空機で充分なので円盤機関が発達しない要因の一つと考えられる。 円盤機関が発達した惑星は地軸が大きく傾いて楕円軌道である可能性がある。 厳しい環境ではあるが、極では8か月も日が照りっぱなしになるので活動性が高く、 ろくに寝ない宇宙人なのかもしれない。 彼らはお日様の高度が下がりだすと宗教行事のように『渡り』をするだろう。
  • 三寸ばかりなる人、いと美しうて居たり。
    三月ばかりになるほどに、よきほどなる人になりぬれば、 髪上げなどさうして、髪上げさせ、裳着す。
    生まれたては10cmしかない。3ヶ月でほぼ成人になった。
    三か月くらい経つころには、人並みほどの背丈になったので、 髪を結い上げる儀式をし、裳を着せたという記述がある。 異常に早い成長で、我々と同じ人間とは思えない。 しかし、鳥類は巣立ちが数週間〜数か月である。 一例として丹頂鶴の雛は孵化してから約100日で飛翔できる。 野生では寿命は約30年で、雛の時期は1/120でしかない。 飼育下では50〜80年という。これは大型鳥類の一般的な傾向である。 雛の成長が早いため災害による気候変動に強いという指摘がある。 短期間に成長すればリスクは小さくなる。 成長が鳥類のように早い人間タイプが存在する可能性はあるので、 この記述はおかしくはない。それに合致する惑星は 地軸が遠地点で太陽を向いて傾いた楕円軌道である。 8か月も日照があるため生産性は地球の約3倍になる。 春分以後に誕生して多量の食料が入手可能なので成人することはあり得る。 生物はその惑星に順応するはずである。 春分の時期になると恋の季節になって、みんな総毛立ってくる。 繁殖能力が高いため人口調整していると思われる。 地球人類の寿命は75歳まで生きても成人まで15年もかかる。 子供の時期の4倍にしかならない。 食料資源が少ないことと昼夜があるため考えられる。 昼夜があると人体の細胞は電池のように充放電を繰り返して劣化してしまう。 成長が鳥類のように早い人間タイプが飼育下と同じく寿命が2倍とすると 雛の時期の240倍が寿命になる。3600歳ということになり、 天人の王と翁の時間感覚が違ってくることは当然の成り行きと言える。

かぐや姫の推定母星図
惑星の特徴
  • 地軸が遠地点で太陽を向いて傾いた楕円軌道である。
  • 恒星は太陽と同じ大きさ、惑星も地球と同等、公転周期も1年くらい。
  • 北半球は8か月も日照がある。生産性は地球の約3倍。
  • 寝ない宇宙人なのかもしれない。短時間の休憩だけか。
  • 鳥類タイプで繁殖能力が高いため人口調整していると思われる。
  • 寿命は子供の時期の240倍。最大3600歳になる。誕生から3ヶ月でほぼ成人
  • 季節が変わると宗教行事のように『渡り』をする。
  • 円盤機関が発達して巨大な宇宙船があり季節の移動に使うと思われる。
  • 生存競争が過激で闘争的、粗暴で興奮しやすいため思考制御が行われている。
  • 活動性が高く身体能力は宇宙人の中でトップクラス
  • 礼儀作法、行儀作法、「思いやり」や「気配り」が出来ていない。
  • 勉学に勤しむ、知能が高くかぐや姫の連れ戻しのためだけに日本語を習得。
  • 計画を企てて実行するのはうまい。科学技術が発達している。
  • 家電品、機械製品などは連続使用が前提なので耐久性や信頼性が高い。




かぐや姫を連れ戻す費用見積もり
  大きな母船 7時間使用 6000万KWh×7  10500000000円
  円盤5台  1時間使用   324万KWh×5    405000000円 
  200人の手当 1日拘束    4万円×200         8000000円
                                         合計109.13億円
   プレアデス(410光年)を想定、エネルギー代 25円/KWhで計算、減価償却、生命維持管理費別途。
  参考 
  かぐや姫が手紙を書く10分間の無駄費用       2.6億円
  かぐや姫の養育費                            7.3億円

    かぐや姫が地球を離れるまで使った費用は10億円だった。    

思考制御について
思考制御については議論が分かれるところだが、鬱になったり、自殺をするくらいなら制 御したほうがいいとも思える。不安によって刃物を振り回したり、銃を乱射する事件が続 発するが、社会にとって大きな負担となる。前頭葉が発達して感情をうまく押さえ込める 人になればいいが、誰しもができることでもあるまい。 進化が進めば扱うエネルギーや情報は飛躍的に大きくなる。さらに便利になり、生活も 豊かになるが、犯罪やテロも被害が拡大する。現在でも電話1本で空港やターミナル駅に 犯罪予告すれば機能を止められる。先進文明なら複数の惑星の機能を同時に止められるだろう。 何せ円盤機関は瞬間移動ができるからだ。秒単位でテロが行える。 自爆すれば都市は丸ごと吹っ飛んでクレーターができるだろう。 それでは安心して生活できないので、規制することになり、 情報統制だ、ネット規制だ、刃物規制だ、暴言規制だ、 しまいには思考規制まで行うことになる。 無理な規制は共産主義、社会主義国家の失敗が証明している。 思考制御は使い方が難しいと思う。 おそらく、感情中枢の活動レベルを下げるものだろう。 全体の機能も下がってビット落ちしたようになる。 使うと鬱な気分は消え去り幾らか気分もよくなる。 制御装置の出来がよければ覚醒剤並みに良くなるだろう。 率先して使われるようになると思われる。 依存症になってしまう人が出るかもしれない。 だが、そのうちやる気が失せ、ぼーっとしたままになる。 何かやろうという気にもならない。 言われたことを実行するだけになる。 犯罪は起きなくなる。それが目的ではあるが。 これでは乗っ取られて都合の良いように制御されていることになる。 はずしたときの反動も大きく、怒り爆発で、 あっという間に社会が混乱する恐れが強い。 月の都はある程度の感情制御(思考制御)はしたほうが惑星全体として幸せという結論か。 反対に食事をしてもおいしいと感じないし、 音楽を聴いても楽しいとは思わないし、 ちっとも面白く感じない。幸福感はどこへ行った?これが先進文明なのか! 地球でのびのびと育ったかぐや姫には嫌悪感があったのではないかと思っている。 脳の働きを制限するため生産性が落ちるし、萎縮する可能性も高い。 どんどん進化が遅れ、逆に退化するかも知れない。 思考制御は支配者には大変都合の良い方法だが、 そこに真の幸せはなく仮想社会や麻薬と大差ない。 喜怒哀楽の少ない状態は機械だけの論理世界と等価だ。 円盤機関や人体浮揚の技術がありながら、思考制御しないと成り立たない 文明は異常だ。
もし、先進文明で、思考制御などの規制がまったくなく、 自由にやってうまくいっている社会があるとするなら、 思考制御された生物は機械と同じだと言って馬鹿にして笑うだろう。 そこでは気分が落ち込んだときだけ使う治療器具としてしか使わない。 情熱は単なる論理思考をはるかに上回ると言うだろう。 そこの労働環境は好きな時に出社して、自分の都合で退社し、 休暇は事前連絡も不要で勝手に休める。 製造ラインも手を挙げればすぐに交代でき無理をする必要はない。 ある程度の不就労を見込んだ運営を行う。 苦手な仕事は避けて、やりたい仕事を自分で見つけてこなせばよい。 主従関係はなく、会社を組織化する役職は単なる役目であって、 組織を動かす仕事が得意なだけで偉くはない。 話し合いですべてが決められていくのでやらされ感はない。 賃金は話し合いで支払われ、 難しい仕事や責任が大きい仕事、リスクの高い仕事に 高い傾向はあるだろう。 全社の決算報告から賃金がはじき出され、常に変動する。 全員が経営側であり労働側でもある。 開発からコールセンターまでの全社会議は社内で公開され、 一人ひとりが会社の現状を理解して最高のベンチマークが出せるよう知恵を絞る。 これだと進化の速度が早く、規制が強い会社は追いつけない。 そこの製品は性能も良く、不具合もなく、使いやすく、耐久性も良く、 修理も楽で、問い合わせも少ない。 もし、円盤機関だったら全宇宙で最速だろう。 文明として究極まで進化するに違いない。 自由にやってうまくいっている社会が最強のはずだ。 強制したり規制すると弱くなってしまう。 ぜひ、手本としてその究極の文明を見てみたいものだ。

理想に近い先進文明社会とは
かつて、かぐや姫の母星で論争が起きたに違いない。 一度、思考制御規制をなくし、社会の再構築ができないか。原点に戻って みたらどうかという社会運動が出てくるだろう。科学が進化していないが、 まったく規制のない社会があって、犯罪やテロの少ない社会がある。 そこへ人を送り込みその考え方を取り入れたらどうか。 そこで、1100年前の日本が選ばれた。 大きな理由として住環境が母星に近似していたものと思われる。 そして、かぐや姫は乳児のとき日本人(翁や媼)に拾われ 好意や思いやりで育てられ大人にまでなった。 礼儀作法や行儀作法、教養を身につけ当時の女性としてトップクラスに育った。 自由の中に筋の通った規律をわきまえている姫は高く評価されて大部隊が回収しにやってくる。 最初は思考制御しただろうが、それを外して自由にさせて その思想を聞き、学び、実践しただろう。 その思想は摩擦や衝突を未然に防ぎ、犯罪やテロ、戦争はあり得ない自由な社 会を構築できる可能性がある。 先進文明で犯罪やテロ、戦争の防止は永遠の課題だ。 翁でも思考制御の事実を知ったら、そんなことまでやらないと生きていけないのかと 言って、かぐや姫を返さなかっただろう。 天人の王は翁に対して「汝、をさなき人、…」と見下しているが、 もし、長い時間議論できて、押し問答になったら、最後は 天人の王が折れて、黄金はいくらでもやるからかぐや姫を返してくれと懇願すると予想する。 翁にやる黄金に比べたら思考制御の弊害はあまりにも膨大だ。 何としてもその“種になるかぐや姫”を連れて帰らなければならない。 焦っていて最初から高飛車だったのかもしれない。 科学技術は一流だが、精神文化レベルは二流のままというおかしな先進文明だ。 もしかすると母星は生存競争でギスギスした社会で、思考制御に頼り切りの世界かも知れない。 大陸育ちで摩擦や衝突が多い社会か。 人心が読めず手際の悪い天人の王、天の羽衣を着せようとする天人がまだ若いかぐや姫に 「物知らぬことなのたまひそ=物の道理を知らないようなことを言うな」と怒られるなど、 「思いやり」「気配り」が無く、自己中心の考え方しかできないと思われる。 これでは“思いやり行動”がいつまでも実現できていない惑星と判断せざるを得ない。 残念ながら先進文明としては理想通りにはなっていない社会と思われる。 もし、このような文明と貿易したり、文化交流が行われると 地球人類は彼らの都合のいいように扱われて虐げられる恐れが強い。 途上国が先進国にやられるのと同じで注意が必要だ。 同じ人間型だから利害や価値観が一致するので最も手強い。

日本人に特有な「思いやり」や「気配り」は 相手が喜ぶことをしてあげる難易度の高い技法だ。 自分の欲望より相手の言うことを優先して理解し、顔色や様子を伺い、 状況から何を考えているのかを先読みし、 その場に最適な行動を選び出して喜びを提供する複合した応用技で、 前頭葉が発達していないとできない技法だ。 時には第六感も発動することがあるからロボットで実現するのが絶対に不可能な動作だ。 その基本になるのが礼儀作法、行儀作法、教養になる。 貴重な思想だった可能性もあり、どうしても手に入れたかったと思われる。
日本の礼儀作法、行儀作法は、 「思いやり」や「まごころ」を表すとともに衛生面や怪我の防止、整理整頓、規律、品位 を保つ手法なので、言葉遣いなどとともに生活作法の一環として習得し、教養、美徳とさ れる。こういったことはさほど重要ではないと思われがちであるが、これこそがかぐや姫 が生還する必要条件だったと思われる。この時代の日本は母星の進化した社会に劣らない か、それ以上だったという判断ができる。かぐや姫の判断も元いた都市は華やかで、 老いることもなく、思い悩むこともないが、帰りたいとは思わないということだった。 円盤機関や人体浮揚の技術、遺伝子操作による老化防止、思考制御技術がある 先進文明だが、精神文化レベルが二流のままだからだ。 「思いやり」や「まごころ」「江戸仕草」「気配り」は不要な摩擦 や衝突を減らす手法でもあり、利益を大きくする手法というよりは損失を極力抑えて着実 に向上するという日本人の感覚に合っている。相手に利益を供与しても巡り巡って自分に 戻ってくるという発想だ。 “思いやり行動”すれば何かあったときに思いやりを受けられる。 それは正しくかぐや姫の母星が欲しがる社会感覚だ。 摩擦や衝突が未然に防がれるため犯罪、テロや戦争はあり得ない社 会が実現できると思われる。 これが実践できないうちは進化した社会とは言えない。 この思想は数万年も進歩した惑星で実現できないほどの難易度とは思えないが。 案外、1000年経ってもできないのかも知れない。 かぐや姫が帰りたくないと言っていることから、 彼女自身、実現は難しいと予測していた。
これら“思いやり行動”の類をすべて持って帰るのは難しい。 それには地位の高い血筋から人物を選んで乳児として送り込み、 育ててもらって身に付けさせて連れて帰るしかない。 たまたま竹取りの翁の「好意」によって、 当時の女性として一流に育ててもらい身に着けた。 これには大変な労力と時間が掛かった。およそ10億円と約23年だった。 大変な労力と時間を掛けてまでも1100年前の日本からお金では買えない 持って帰るべきものがあった。 その連れ戻した人物からその思想を聞き、学び、実践することになる。 かぐや姫は先進文明の高度な科学技術に基づく思想よりも 1100年前の日本の思想の方が良いと認識していた。 長年に渡る翁と媼の教育の結果、確固たる信念と自信があった。 そのため先進文明の百人の迎えが来ても気後れすることもなく、 翁を見下すような天人の王に対してごねて (翁の代弁という意味もある)、さんざん待たせ、わがままを通した。 翁と媼のもとを去っていく寂しさと翁と媼の落胆する様を理解する思いやりはないのかと。 思いやりのないお前達は間違っている。 ここの住民(1100年前の日本人)よりも精神文化が劣っている。 これを百人の前で行動で示し、黙認させた。

文明は進化すれば するほど脆弱になって、ちょっとしたことで崩壊しかねない。 科学技術が発達すればするほど危険度が増す。 テロをどうやって防止するかは大きな課題だ。 円盤機関ができるとテロの恐れが少しでもあると先進文明は成り立たない。 円盤機関は速度が速いためほとんど瞬間移動に見える。 密集した高度な社会では犯罪やテロは多大な損失と混乱・不安をもたらすので、 先進の社会ではこれらに繋がる原因を生まないことが望ましい。 周囲の人間がすべて競争相手で 生存競争で打ち勝つためには手段を選ばず、 何でもありの黒船的(欧米諸国・大陸)行動は 反感を買い、衝突と損失を招く。大きな格差は不平不満を生み、 他方でテロリストの製造をしているようなもの。 高層ビルが立ち並び、インフラが整って みかけは良いが、実は社会の内部構造がとても弱 い砂上の楼閣ような脆い社会だ。 滅亡する確率が高い都市国家と言える。 個人は強い?が、社会は脆弱という矛盾した状況だ。 いつテロが発生してもおかしくない。 かつて2つのビルは完全に倒壊した。 円盤機関で過激にやれば地球はミマスのようになるだろう。 今でも悪質な電話1本で空港は混乱し機能不全に陥る。 都市機能は80%しか発揮できない。 犯罪を犯す奴がいると対策をする必要が出てきて無駄な費用と労力が 発生し、個人の力も80%しか発揮できない。 こういう輩がいると−20%全員のパフォーマンスが落ちる。 矛を振りかざす奴がいれば盾で防がなくてはならない。 さらに鋭い矛を作って盾を突き破ろうとすればそれに耐える盾が必要だ。 相手を騙してでもかすめ取る、他人がどうなろうと自分さえよければいい、 相手のことなど考えるのは相手に利益を供与し、自分を弱くする行為だ。 まさに“ハゲタカ行動”だ。 こんなことをしているから地球の通信ネットワークは ウィルス対策でリソースを食われ100%のベンチマークは出せない。 対策にお金が掛かるし、いい迷惑だ。 ウィルスやフィシングが常駐している恥さらしの通信網だ。 常に−20%のパフォーマンスが低下する欠陥ネットワークで 生活しているという驚きの状態だ。 ごく一部の輩が儲けるだけで、全体として損失になっていることに気が付かない。 これでは科学がいくら発達しても先進文明ではない。 もし、地球の通信ネットワークを他の先進文明と接続すれば ウィルス騒ぎが発生して、ボロクソに非難されるだろう。 野蛮人種だと。 このままの状態で宇宙に知れ渡れば地球の地位は低い。
“ハゲタカ行動”するときは優越感があっていい気分だが、 “ハゲタカ行動”されるときは いじめられて鬱になって思考制御に頼ることになる。 社会は闘技場で自分は戦士であり肉体も精神も屈することは許されない。 いつ犯罪に巻き込まれるかわからない、やさしい言葉を掛けてもらえない、 常に疑って掛からないと罠にはまる。 摩擦や衝突が多く、殺伐とした雰囲気で精神的な負担が非常に大きい社会構造だ。 生き残るのに精一杯で、他人のことなど構っていられない。 疲労がたまって体調を崩したりするとそれが切っ掛けになって挫折しやすい。 身内に相談しても努力が足りない、根性がないと言われるだけだ。 いつまで待ってもやすらぎの天使は現れない。 これに耐えられず、これまた思考制御に頼ることになる。 このまま行けば欧米諸国や大陸は思考制御を導入せざるを得ない。 かぐや姫の母星と同じになる。一旦使い出せば外せなくなる。 そして、いつまでも議論が続きあがくことになる。

すべての人間が礼儀作法、行儀作法、教養を身につけ 「思いやり」や「まごころ」「江戸仕草」「気配り」が当たり前の社会 であれば犯罪予告の電話もなく、もし、あったとしても そんなことするはずがない、子供のいたずらだろうということになり、実行する人も いないので、結果として混乱もなにも起こらない社会になる。 ここでは“ハゲタカ行動”すると注意され、いさめる社会だ。 野放しにはしない。 個人の力は強くなくても常に良い社会を築こうとする方向性が揃った信頼性の高い社会だ。 財布を落としても届けられている。忘れ物をしても保管しておいてくれる。 他人のものに手を出すほど落ちぶれてはいないと思っているからだ。 住宅の門や戸は開けっ放しで鍵も掛けない。 無人販売所の売り上げ金額はいつも合う。 自動販売機は皆で便利に使う物で、釣銭が取られたり壊されることはない。 どれも持ち主のことを考えた“思いやり行動”だ。 社会の中に外見はごく普通の人だが、思いやりの菩薩がいて助けてくれる。 そのときには世の中のやさしさが感じられる。 それがみんなの利益になっている。 格差を減らせば摩擦や衝突が少ない精神的な負担が小さい社会構造になる。 人間というのは一人では生きていけず、種として集団で生きていく存在だ。 人と人との繋がりが強ければ、災害があっても自然と皆が助け合い、信頼し合い、 火事場泥棒もない、折れず曲がらない強靱な都市国家になっているはずだ。 集団で生きていこうとするベクトルの方向が揃っていて 反対向きの輩がいない。格子欠陥が無い単結晶のようになっている。 ダイヤモンドの共有結合のように堅く傷が付かない。 種として集団で生きていくための社会という入れ物が強いことになる。 滅亡する確率が低い都市国家と言える。 矛を振りかざす奴がいないから損失がない。 『公共社会信頼係数』を規定するなら95%はあるだろう。 一例として公共交通機関の時刻の正確さに表れている。 個人も力を削がれず常に95%の能力が期待できる。 幸運にも1100年前の日本はそれができていた。 かぐや姫の母星の指導者がどうしても手に入れたい強靱な社会だ。 “先進技術”と“思いやり行動”が同時に揃わないと真の先進文明にならない。 このようなことができるまで気の遠くなるような時間が要るだろう。 1000年経ってもできないかもしれない。 欧米諸国や大陸社会が今後どう対処するのか見ものだ。

この物語は“1100年前の日本”と“かぐや姫の母星の文明”を対比させて描き、 未来の日本人の進化の方向を示唆している。 これから地球人類・日本は思いやり行動に基づいた『自由にやってうまくいく社会』を実現するのか? それとも徹底的に思考制御された社会を選択するのか? この物語はイデオロギー論争がテーマになっていることに気付く必要がある。 今後、自由にやってうまくいく社会が実現できなければ 思考制御などの規制の強い社会になるしかない。 もし、東側諸国や大陸社会で育てられた子供がいたとしても母星に戻れないだろう。 大人にまで育っても迎えが来ないので埋もれて物語にならない。 かぐや姫が日本に来て母星に戻れた理由を噛みしめる必要がある。 しっかり思いやり行動を実践すれば思考制御などの規制がまったくない 科学技術は一流、精神文化レベルも一流の先進自由文明社会が実現できる。 日本にはその素地がある。かぐや姫同様、思考制御はイヤだ。



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